お洒落なお店が苦手(だった)

私には姉がいるが、姉は一度離婚している。

彼女が離婚する時、なんというかまあ色々事態が拗れていたので、配偶者が不在のタイミングで荷物を実家に運び出して、別居してから離婚の話し合いをするという手筈になっていた。

引越し作業は、父と私が主に請け負って、体調不良で機能しない姉を横目に見ながらえっさほいさと荷物を運んだ。引越し作業中に、前回家に遊びに来た時に私が忘れていったイヤリングが出てきたのにはちょっと笑ってしまった。私は誰にも言わずにポケットにイヤリングをしまって、努めて明るく振る舞いながら荷物運びに精を出した。

一通り作業が終わって、ちょっと遅めのランチを食べてから家に帰ろうという話になり、近所のカフェみたいなお店に入った。その頃姉が住んでいたのは、私は住む街として選べないようなハイソな住宅街で、そのカフェもいやに単価が高かった。その街に住んでいたのは当時の配偶者の趣味である。顔も覚えていない、いや覚えてはいるが、過去の人なのでどうだっていい。式も挙げていないので(今思うと本当に挙げていなくて良かった)、記録に残っているのは親族顔合わせで行った高級中華で出てきた北京ダックの写真くらいである。お店に入って、それぞれ何らかのメニューを頼んで、あまり会話をした記憶はない。もともと父は寡黙な人であるし、姉もそこまでおしゃべりではない。この場でぺちゃくちゃ喋るようなタイプは私くらいなのだ。でも状況的に、私だってとてもおしゃべりをするような気分じゃなかった。重苦しい空気の中、ちょっとした世間話を2、3交わして、料理が到着するのを待った。時間が永遠みたいに感じた。

ぐるりと店内を見回すと、友達家族で集まりました、みたいなグループが目に入った。皆すごくお洒落だった。東京に住むお洒落な家族のお手本みたいな感じだった。なんていうかものすごく眩しくて、すぐに目を逸らした。人生において、いろんな感情を経験したけど、私が一番みじめな気持ちになったのはこの時だった気がする。私たちのテーブルだけ灰色だった。お店の空気に押されて、口をつぐみ、俯きながら食事をした。姉は泣いていた。苦しいのは全員一緒だった。最初から地元の駅の富士そばに行けば良かったなって、そればかり考えていた。

その後もいろいろあって(こんな一文でまとめたくないくらいめちゃくちゃ色々あった)、気が付けば6年以上経った。姉は再婚して子どもを生んだ。私は姪を溺愛していて、会うたびにジグソーパズルを教えている。姉の家族は実家から歩いて15分くらいのところに越してきたので、頻繁に会うようになった。この週末、雨が降るかもしれないからこちらから赴こうという話になり、母と一緒に姉の家を訪ねた。姉の夫は仕事で不在であり、姪はソファで昼寝をしていた。うっすらと目が開いているような不思議な寝顔だった。

姉が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、最近家族で出かけたというエピソードを聞いた。そこで、パンケーキで有名なお店にランチで入ったという。そのお店に入りたいと言い出したのは夫の方だったらしい。姉もそのお店に入るのは初めてで、飲み物も千円くらいするのでびっくりしてしまって、お水でいいと言ってしまったと笑っていた。姪のお子様ランチと、夫婦の食事を頼んで、それでもそこそこの値段がした。周りにはママ友みたいな集団がいたけど、飲み物もちゃんと頼んでて、あんなお店で毎日ランチしてたらそれこそ4、5千円はしそうな気がする。ていうか、私たちめっちゃ浮いてるじゃんって笑った、でも○○さんが入りたいって言ったんだよ、案外ミーハーだから。行ったことある?△△ってお店。

そのお店舗には行ったことないけど、友達と系列店には行ったことあるよ。確かに飲み物高いなと思ったわ。パンケーキしか食べたことないけど、美味しかったよ。そんな話をした。

別に同じお店の話じゃないのに、どちらも雰囲気が似ていたせいか、私は6年前のことを思い出していた。あの時、お洒落な雰囲気のカフェみたいなお店で泣いていた姉が、今は家族で「私たち浮いてるね」なんて言いながらも楽しんでいることが嬉しかったのだ。それと同時に、案外私の中でも重くのしかかっていたんだなと思った。たぶんそれからずっと、お洒落な感じのお店が苦手だった。でもなんていうか、その原因はそのお洒落さにはないはずで、私の中の薄暗い人を羨むような気持ちがそんな風にさせていた。別にそんなの誰も悪くなくて、お洒落な家族にだってきっとそれなりに色んなことがあるんだろう。今ならちゃんとそう思える。そんな風に思えるくらいには、6年というのは長い時間なのである。

そんなことを思い出しながら編み物をして、気づいたら週末が終わっていた。こんな風にして、また明日から仕事が始まる。

アイドリッシュセブンにハマったその後の話

「今まさにアイドリッシュセブンにハマっている」という記事を書いてから1年以上経過した。改めて振り返るとこの1年で色々なことがあった(色々なことをやった)な…と思ったので、この1年の出来事を記しておくことにした。

 ものすごく長文だが、要約すると1年経ってもアイドリッシュセブンが好きで、現在は今週末の7周年イベントを楽しみにしている状況、というただの報告です。

 

  • TRIGGER CG STAR LIVE

 9月に1回だけ行きました。友人と行ける日全部申し込んだものの1回しか当たらなくて、アイドルのファンやるって大変なんだな…と改めて実感した。本来は貸し出し用のペンライトがあるイベントだったものの、感染予防のため貸し出しは無しということでペンライトを買わないといけなかったのだが、私がそんなことをすっかり忘れていた1ヶ月前の段階で友人は既に入手済みであり、「色の切り替え結構難しくない?」などと言い出したので慌ててネットでペンライトを購入した。この後もちょくちょくあったが、彼女は趣味に関してやらねばならないことを決して先延ばししない(抽選の類もすぐに申し込む)タイプだということがよく分かった。私は趣味に関することでも先延ばしにしてしまうタイプなので、見習わないといけないな…と思った。

 発券してみたらまさかの最前列で、アイドルのライブでペンライトを振った経験に乏しい我々は「他の人の真似をしようと思っていたのに…」と動揺するも、座ってみたら前に人が被らない状況というのはなかなか良かった。友人が当ててくれたチケットなので「好きな方選んでいいよ」と言って選んでもらってから一旦座ったものの、「いや、やっぱり代わってもらってもいいかな、なんとなくそっちが八乙女楽席な気がする」と言い出したので笑いながら席を交換した。ちなみに入場時にランダムでステッカーが貰えるのだが、私が八乙女楽、友人が十龍之介だったのでそちらも当然のように交換した。

 ライブは始まってみたらあっという間で、好きな曲にあわせてペンライトを振るのはものすごく楽しかった。CGはちょっと立体感があって、ダンスシーンの動きが滑らかだし髪の揺れも自然で技術の進歩を感じた。最前列なので「今絶対九条天と目が合ったな」と思う瞬間が何度かあり(※CGなのは分かっています)、結構テンションが上がってしまった。そしてひたすら九条天ばかり見てしまったので、やっぱり私は九条天推しってやつなんだな、と実感した。残念だったのが、トークパートがコール&レスポンスを前提に作られているものの、感染予防のため発声禁止で拍手のみで応えなければならなかったことである。宝塚は発声禁止が基本なので、拍手と手拍子に思いを乗せることに慣れてはいるけれど、やっぱりアイドルのライブは発声が必要だなと改めて思った。

 終了後、「たぶん九条天と私目が合ったわ」と友人に告げると「いや私だし」って返ってきて爆笑した。お前は八乙女楽のファンだろ。なんだか二人ともキャッキャしていた。実は同じアイドルグループにハマるのは初めてなのである(というか、二人ともアイドルにハマったことはこれまで一度もない)。開演前は「買ってもパジャマにするだけだしね」と眺めていたTシャツを、開演後は二人とも迷うことなく購入した。この時友人が八乙女楽のファイルを買うかどうか悩んでいて、「贔屓のグッズではなくこちらをチケットホルダーとして使うのは浮気にあたるのだろうか」といった趣旨の発言をしていたことを覚えている。結局買わなかったので、彼女の贔屓の地位は保たれた。

 

 12月に、IDOLiSH7の新曲のうちの1曲をスガシカオが楽曲提供する、というニュースが発表された。スガシカオIDOLiSH7に楽曲提供する世界に来てしまった…と思った。改めて、何も言ってない文章だが、本当にこう思ったのだ。なぜなら私は中学生の頃スガシカオの大ファンで、ライブに行ったりラジオを聴いたり、なんならそのラジオ番組にfaxを送ったりもしていたからである。そこが繋がるとは思ってもみなかった。その後発表された新曲は、曲としてはものすごくスガシカオだなと思うのに歌詞がアイナナを分かっている人のそれでとても良かった。懐かしくて昔買ったアルバムを久しぶりに聴いたりした。

 

  • 5部配信開始

 12月末、ついに5部の配信が始まった。「12月27日から」と言われていたのに、急に12月22日からカウントダウン!みたいなテンションで先行配信されてびっくりした。カウントダウンの意味間違えてない??確か12時に急に配信されたので、慌ててイヤホンをつけて視聴した。初っ端から九条天が出てきて、TRIGGERも出てきて、あまりにも心を抉られる展開だったので「無理・・・」ってなりながらも午後の仕事をこなした。

  12月27日は仕事納めの日で、17時からの配信に合わせてフレックスを使おうかなと思っていたら運良く外出の用事ができたのでそのまま上がって、17時過ぎに近所のプロントに立ち寄って一人で飲みながら4章まで読んだ。振り返ると、5部は色んなことがあり過ぎてどこで何が起きたのか思い出せないのだが、「アイドリッシュセブンのストーリーの更新にリアルタイムで立ち会えている」という興奮がすごくて、ふせったーで感想を残しておいた。ちなみにこの感想は、しばらく続けていたもののある章での九条天の行動にショックを受けて書けなくなり、途絶えてしまった。読み返そうと思ったが、あまりに長くて自分でも読む気が起こらない。

 5部の毎月の更新分は、だいたいプロントか自宅で読みました。

 

 何かの用事で会った別れ際に、友人が「年末にやりたいことがあって」とおずおずと言い出すものだから何かと思って身構えたら「鎌倉行かない?聖地巡礼したい」だったので、この人いっつも私の想像を超えてくるなと思った。社会人になってから、年末は必ず会うようにしているが、これで2021年の年末行事が決まった。ちょうど年末年始にアニメイトカフェとのコラボ企画があることが分かったので、それにも行くことにした。また抽選申し込みをせねばならない。こちらはCG LIVEよりは当たりやすかった。

 なぜ鎌倉で聖地巡礼か、というと鎌倉が旧Re:valeの出身地なのである。『Re:member』(Re:valeの過去を描いたコミカライズ作品)の聖地巡礼をした人のnoteを薦められて読んだ。ものすごく緻密に聖地巡礼されていて、世の中には色んな天才がいる・・・と感動したし、スケジュールを組む上でものすごく参考になった。夕方に池袋のアニカフェに行く都合上、行き先としてはイワタコーヒーと鶴岡八幡宮と鎌倉高校前の踏切の3箇所まで、と決めた上で逆算して11時半に鎌倉駅集合が決まった。鎌倉駅集合を決めてから、鎌倉駅に集合するのはこれが初めてではないことを思い出した。中学か高校の春休みに二人で鎌倉で遊んだことがあって、その時も鎌倉駅集合だった。細かいことはあまり覚えていないが、確か長谷寺や大仏を見に行った。鎌倉駅集合のことは友人も覚えていて、その時に「海に行って、『こういう爽やかな場所に生まれていれば我々も爽やかに育ったのでは?』みたいな話をした」覚えがあるという。確かにそんな記憶ある・・・今となっては自分たちが爽やかでない理由は育った場所ではなく、単純に性格等の問題だということを十分理解している。私たちが鎌倉で育ったところでRe:valeには絶対なれないし。

 当日はイワタコーヒーで落ち合って、まずはホットケーキを食べた。アニナナ3期8話で見たまんまの内装であることに興奮した。人気店らしく店内は混み合っており並んでいる人もいて、お昼には少し早い時間にして良かったと思った。ホットケーキを食べながらずっと5部更新分の話をしていた。お店を出た後は鶴岡八幡宮に向かった。途中の参道もアニナナ3期8話に出てくる。歩いているところを写真に撮ってもらった。ユキさんが立ち止まった場所はこの辺りなのでは、などと推測しながら歩くのは楽しかった。

 鶴岡八幡宮でバンさんとユキさんに思いを馳せながらお参りをして、『Re:member』の素晴らしさを語り合い、江ノ電に乗って鎌倉高校前駅に移動した。我々がここに来たのはアニナナ3期8話の影響なのだが、この場所はスラムダンクのアニメのオープニングにも出てくることもありとても有名で、踏切を通る電車を撮影しようとそれなりの数の人が集まっていた。みんな似たようなこと考えるもんなんだな。すごく景色の良い場所で海辺も近かったので、せっかくだし、ということで砂浜を歩いた。もちろん帰りの電車の時間を確認することも忘れなかった。海を眺めながら、アニメでの夜の海の描写を思い出したりした。アニナナ3期8話は本当にすごかったのだ。まるで映画のような印象だった。踏切の赤いランプが点滅して、踏切が閉じて、電車が通って、踏切が開いて。たったそれだけの時間の間にたくさんの感情が詰まっていた。実際にはアニメの中は夜の時間で、私たちが訪れたのはまだ明るい時間だったから同じ光景を見ているわけではないのだけれど、こういう景色だったんだなぁと思いを馳せることは容易だった。

 江ノ電鎌倉駅まで戻って、鳩サブレの干支缶を購入して、池袋まで移動した。そう、アニメイトカフェに行くためである。コラボカフェに行くのは二人とも初めてで、お作法が全くわからないのでちょっとドギマギした。時間になって指定されたテーブルに着くと注文用のタブレットを渡される。一品頼むごとにランダムでブックマークが貰えるというので、それぞれ飲み物・メイン・デザートを一品ずつ注文することにした。周りを見渡すと、1人〜4人までの女性客ばかりである。眺めていて一番驚いたのは、他のお客さんのほとんどがキャラクターのぬいぐるみを持参していたことだった。ツイッターで良く見るやつだ!!とちょっと興奮した。私たちが初心者だということが丸わかりの構図である。しかしあのぬいぐるみ、気づいたら市民権を得ていた気がするけれど一体いつどの作品が発祥なのかが気になる。ジャニーズのグッズでも見たことがあるが、軽く調べた程度では発祥は分からなかった。アクスタもそうだけど、なんか気づいたら根付いていたオタク文化みたいなものがある。アクスタは宝塚にも入ってきたけれど、ぬいぐるみは親和性がそんなにないかも。ていうか宝塚、外の世界で流行ったオタク文化を取り入れるのに最近積極的だよね。

 そんなことを話していると次々に飲み物と食事が運ばれてきて、その度に銀色の袋に入ったブックマークを取り出すのだけれど、面白いくらい推しが全く出ないので笑ってしまった。冷静に考えると16分の1の確率だからそんなに簡単に当たりはしないのである。でも開ける瞬間、当たったらいいなと思っている自分がいて、ランダム商法の功罪〜〜みたいな気持ちだった。しかし、しばらく時間が経つと、他のテーブルの人たちがどうも当たったものを交換し合ってるっぽい・・・?ということに気づく。テーブルの端に自分が交換してもいいと思っているものを並べて置いており、それを見つけた人が声を掛けている構図が見てとれた。なるほど、そういうことか。見よう見真似でテーブルの端に置いてみるも、声を掛けてくれる人はいない。ふと気になって、「社会勉強してくる」と言って店内を巡回した。見ているうちに、並べ方にコツがあるのでは?と気になった。皆、テーブルの横から見て正位置に見えるように綺麗に並べているのである。どうも私たちの並べ方は間違っているのではないか。席に戻って並べ直し、もう一度店内をぐるっと回ると、ちょうど私の後ろ側の席の人が八乙女楽と九条天のブックマークを並べて出しているのが分かった。ちょっと逡巡しつつも、「ちなみに誰を探していますか?」と聞くと、「MEZZO"です」と答えてくれた。え、なにそれ持ってる〜〜!(友人が)となった瞬間のテンションの上がり方といったらなかった。無事に交換が成立し、私たちは推しのブックマークを入手したのである。ちょっと、いやかなり楽しかった。ランダム商法の功罪〜〜〜とならざるを得ない。

 カフェ飯では物足りなかったので、すしざんまいに行って飲み直した。そこでずっと「有名チェーン店とアイドリッシュセブンのコラボ企画」を妄想していたのだが、すしざんまいコラボとかいいじゃん、寿司職人の格好をしたアイドルたちの絵が目に浮かぶ、陸はマグロ担当で天にぃはサーモンじゃん、ヤマさんどうする?芽ネギかな?みたいな会話をした。一番盛り上がったのはTRIGGER×富士そばのコラボ企画である。八乙女楽は蕎麦一本で勝負して欲しいのでせいろ、九条天はエビ天そば、十龍之介はどうしよう・・・ソーキそばしか思いつかないけど富士そばにソーキそばはないし・・・からの、「分かった、『力そば』だ」と正解が導き出された瞬間が今でも忘れられなくて、記録に残しておきたくてこの文章を書いている節がある。

 

  • Opus7

 IDOLiSH7の単独ライブOpus7、実はアプリ先行を申し込んでいたりもしたが普通に外れたので、引っ越しのタイミングと被ってしまったこともあり観ようかどうしようか悩んでいたら、友人たち(アイドリッシュセブンを教えてくれた友人と、同じタイミングでハマった別の友人)が誘ってくれたので皆で配信を見た。今になってスケジュールを振り返ると、引っ越した翌日に贔屓の舞台を観劇し、その翌々日に配信を観ており、自分が全く荷解きを終わらせる気がないことに笑ってしまった。

 Opus7については、演出もキャストの表現も、これまでの蓄積を感じさせるクオリティの高さでこれはIDOLiSH7は国民的アイドルになるわ・・・と実感させられた。キャストの声優の方々については、YouTubeで見た過去のライブ映像(ダイジェスト版)と比較して「見せ方」が格段に上手くなっているなと感じて、ファンを喜ばせるために努力されてるんだな、とプロの仕事に感動した。特に『THE POLiCY』の演出はすごく良かったし、『Mr.AFFECTiON』は配信ならではの演出がとても効果的だなと思った。MEZZO"の二人があまりに歌がうまいので、思わず出てきた「こりゃ先に二人でデビューしますわ」という友人の言葉がすごくツボで、そうだよねこれだけ上手かったら運もあったかもしれないけど人気出るの分かるよね、でも7人でデビューできて本当に良かったよね・・・などと語り合い、過去に色々あった出来事や歴史を反芻しながらライブを楽しんだ。コンテンツとしての蓄積の強さを感じるライブだったなと思う。

 

  • VALIANT

 考えうる限りの一番の爆弾がこれである。VALIANT(TRIGGER単独ライブ)の円盤が出たのである。

 友人が早々にAmazonでの予約を決めていた一方で、先延ばし癖のある私はそこそこギリギリに予約した。なんかこの業界、どのサイトで予約するかによって特典が異なるのでめちゃくちゃ悩むんですよね・・・販売数を増やすための努力がえげつない。いや分かるよ、マスに売るより確実に買うオタクに複数買わせる方が効率が良いっていう手法なんだって分かるよ。分かるけど・・・色々悩んだ結果Amazonにしました。

 家に届いて観た時の最初の感想が「TRIGGERが好きという強い自我を抱えた状態で見るVALIANTはやばい」だった。2021年7月とはテンションが違うのである。この頃友人に送っているLINEがほぼ「やばい」「最高」「めっちゃ良い」で構成されていて、何も読み取れなかった。今そのやりとりを見ると、めっちゃ良かったよねそうだね・・・良かったね・・・みたいな感想を抱くしかない。VALIANTの何がそんなにツボだったかって、まあシンプルにTRIGGERが最高で最強ってことを知らしめるライブだったからというのもあるんですけど(何の説明にもなっていない)、一番は九条天を演じている斉藤壮馬氏のインパクトがすごかったからかもしれない。九条天なんですよ、振る舞いが。そしてそれが後半にいくにつれて加速していく様がすごくて、特に『Treasure!』以降は見所の連続でずっと「お前が優勝だよ・・・」って気持ちだった。涙袋のピンクのラメがすごい。まず似合うのがすごい。

 あまりにもツボ過ぎて、一時期うちに遊びに来る友人たちに必ずVALIANTを見せる人になっていた。完全に宝塚にハマりたての頃と同じ行動である。ヅカオタの友人たちにまで見てもらった。「八乙女楽役の人のナチュラルさと、九条天役の人の演技の濃さのギャップがすごい」「まあでも芸風で言うと○○さんがこっちにハマるのは分かる」「好みが一貫している」等ヅカオタ目線でコメントを貰えたのがありがたかった。そうだった私は宝塚でも濃いめの芸風の人が好きなのだった…ちなみにあまりにも濃度が高すぎて、ソロ曲『U COMPLETE ME』はたぶん5回くらいしか見られていないが、ここまで全力で九条天をやってくれることに対して感謝の念しかない。「生まれてきてくれてありがとう」はこっちの台詞だよ、というオタクにありがちな重めの感情を抱いてしまう。生で観る(生ではない)「ちょっと、はしゃぎすぎ」はあまりにもやばかったです。

 またこのタイミングで衣装展なんてものがあったものだから、我々のテンションに火をつけてしまった。衣装展もすごく良かった。間近で衣装を見ると、すごく綺麗だし丁寧な作りで、私は「宝塚の殿堂」でお衣装を見るのが好きなのでとても興奮してしまった。お金が掛かっている衣装を見るのはこの上ない喜びだと思う。改めて見ると、九条天の衣装ってめちゃくちゃ可愛く作られてて、これ着こなすってすごいな!?ニーハイブーツすごいな!?って感動した。グッズも充実していたので、思いのほか散財してしまった。種村先生の絵が好きなので友人に乗せられるままタペストリーまで買ってしまった・・・「いやどこに飾るの!?」って言いつつ買いましたが、無事に書斎の壁に飾られています。このほかアクスタとかステーショナリーセットも買った。ステーショナリーセットはもちろん九条天バージョンのやつなんですけど、普通に仕事で使っていたら、なんかの打ち合わせでめちゃくちゃ怒りに震えてボールペンを握りしめた結果ヒビが入ってしまって、それがショックでそれ以来お蔵入りにしている。自分の握力の強さを見誤ったことを反省。

 

  • TRIGGER×DARS
 ただでさえVALIANTで気分はお祭り状態なのに、ここでDARSとのコラボ企画がぶっこまれた。忘れもしない3月1日の朝である。ちょうど仕事が忙しい時期で、いつもよりも早い時間の電車に乗りツイッターを眺めていたら、TRIGGER×DARSの大きな広告が田町駅に出ている、という内容の投稿を目にした。これは行くしかない。即座に田町駅に行くことを決めた。今思い返してもここの判断が迅速かつ的確過ぎるのだが、正直仕事で精神的に疲れきっていて、何か癒しを求めていたのだと思う。出社時間は遅れるが、それでも私はTRIGGERの広告が見たい。田町駅に立ち寄ることによるタイムロスを計算しつつ、山手線で田町駅に向かった。駅に到着し、ホームを少しうろついてから改札を出ると、そう、そこにはあったのだ、TRIGGERのでっかい広告が。
 TRIGGERじゃん。最初の感想はこれだった。近づいてみると、結構大きいサイズで、写真を撮ろうと思うと少し離れないと全体が入らなそうだった。朝の田町駅は人通りが多く、私は通行人の邪魔にならないよう機敏に動きながらなんとかその広告を写真におさめることに成功した。これまで、アイドルの大きな広告写真の前で写真を撮るファンたちを何度か遠巻きに見たことがあったけど、まさか自分もそういう行動を取るようになるなんて…人生何があるか分からないものである。
 広告の次は限定クリアファイルの入手である。配布開始日に朝から隣の駅のドンキに行ってみるも置いておらず、ツイッターで調べるとどうもイオンなら確実にありそうな気配だったため、そこから検索して会社に最も近いイオンに向かうことにした。出社時間はこの際どうでも良い。私はこういう時のために日頃から真面目に働いてきたんだよ。上司には「所用のため出社時間が遅れる」旨を端的に報告したが、特に更問を受けることは無かった。そうして30分近く掛けて到着したイオンで大量のDARSと引き換えに無事クリアファイルを入手した時、なんだか達成感がものすごかった。今日これから働くとか正気…?しかしTRIGGERファンとしては、TRIGGERに恥じない自分でありたいので、しっかりと労働せねばならない。私は大量のDARSを手に出社し、職場の人たちに良かったらどうぞ、と何食わぬ顔でチョコを配布した。先輩になぜそんなに大量のDARSを購入したのか質問され、うっかり「今ハマっているアイドル(二次元)のコラボ企画があって」と馬鹿正直に答えてしまったものの、出社が遅れた原因がそれであるということはバレずに済んだ。その日もクソみたいな仕事に忙殺され精神を摩耗したけれど、クリアファイルを無事入手したというだけでも意味のある一日を過ごすことができた。
 2~3月は正直仕事でかなり煮詰まっていて、精神的に結構追い詰められていたのだが、今思うとVALIANTとDARSのお陰でなんとか正気が保てていたような気がする。TRIGGERには感謝しかない。
 
  • 7周年イベント
 7周年イベントの開催が発表されて、友人と絶対行きたいね~と盛り上がったものの、円盤購入による最速先行には申し込まなかった。今となってはこれを若干後悔しているのだが、当時はまあアプリ先行で申し込めばいいか、くらいのテンションだったのだ。結局アプリ先行(5口)は外れて、プレオーダーも一般先着も駄目だったので、配信で楽しむ予定である。
 「抽選申込のために円盤購入が必要」というのが私にとっては新鮮で、戸惑いの原因でもある。1枚だけ買って申し込んで外れたら辛いから複数枚買ってしまいそうだし、一方で円盤そんなに何枚も要らないし…という気持ちもある。いや、贔屓のサイン欲しさにカレンダー沢山買ってたじゃねぇかって自分に対して思わなくもないのだが、確実に手に入るわけでもないもののために同じものを複数購入するということに抵抗があるのかもしれない。でもそんなこと言ってたら当たらないので、次からはちゃんと買おうと思った。
 
  • 5部完結
 6月27日に5部が完結した。当日は在宅勤務だったのでフレックスを使って17時になった瞬間くらいから読み始めたのだが、途中何度も泣いて止めたりしながら読んだので、全部読み終わるのに2時間くらい掛かってしまった。一度全部最初から読み直したいと思っているが、5部はラストスパートがすごくて、絶対にこんなの話まとまる訳ないじゃん、と思っていたいくつかの問題が、気づけば1つに収斂して終わりに向かって走り出していく感じが見事だった。12月27日から、毎月更新日を楽しみにして過ごしてきたけれど、リアルタイムで更新される物語にこんなに夢中になったのは本当に久しぶりだなと感じている。
 最終更新分を読んでいて、私はずっと贔屓の退団公演のことを思い出していた。宝塚における退団は、アイドリッシュセブンの中で語られる「アイドルの終わり」と近しいものがあると常々思っていたから、そこを重ねずに見ることはできなかったのである。一番泣いたのは実は15章4話で、ライブシーンを通じて描かれるのはアイドルとファンの幸せな関係だった。この世に永遠なんかなくても、永遠を感じる瞬間というのは確かにある、自分にはあったのだと私は思っていて、それを「永遠なんてない」と否定するのではなく、その時その瞬間は確かに永遠だったし、その時永遠を感じられたのであればそれはすごいことなんだ、と肯定してもらえた気がした。アイドルもファンも、お互いに変わっていくことに対する肯定があるなと思った。どちらも人間だから。退団による喪失とか、一方であり得ない永遠を願うことまではできないそれなりの分別とか、私の中でまだ今ひとつ消化しきれていない感情があるんですけど、そういうものをそのままそっと置いておいても許してもらえるような優しさをこの物語から感じました。
 5部の感想は一度ちゃんとまとめたい気がするけど、読み返すのもハードなのでなかなか及び腰になってしまう。しかし、ひょっとして5部で終わってしまうのでは・・・?と心配していたので、明らかに6部に繋がるであろう終わり方には驚いた反面少しホッとした。6部がいつ来るのかが今から気になって仕方がないけれど、気長に待ちたいな、と思っている。
 
  • その他

その他のアイドリッシュセブンに関する特記事項は以下の通り。

・毎朝起きるとアプリを立ち上げてオートライブでデイリータスクを消化するルーチンが完全に根付いてしまった

・1年前は全然ダメだったナナパスのウィークリー曲でSS取れるようになった

・復刻したダンスマカブルを読みました。めちゃくちゃ面白かった・・・!

・アニナナ3期第1クールが終わった後、供給が無いことに耐えられなくなってしまい友人たちとアニナナ3期を振り返る合宿をやってすごく楽しかった

・部下と趣味の話をする流れでうっかりアイナナが好きという話をしてしまい、アイナナ好きの友達がいる彼女から「誰が好きなんですか?」と聞かれて「TRIGGERの九条天なんだけど・・・」って答えたけどまさか部下に推しキャラを告白する羽目になるとは思わなかった

 

 振り返ってみて、この1年でアイドリッシュセブンに関する様々な思い出が増えたな、と改めて思う。宝塚も贔屓のことも今でも好きで観劇は続けているけれど、観劇以外の趣味が増えたことによる世界の広がりを感じています。ちなみにVALIANTのせいで今度はヒプノシスマイクにたどり着くという予想していなかった展開も起きており、それについてはまた機会を改めて記録しておこうと思う。

 まずは今週末の7周年イベントと、そしてこれから待ち受けるアニナナ3期第2クールが今からものすごく楽しみです。またこうやって自分の定点観測をしたいなと思っている。

 

 

今まさにアイドリッシュセブンにハマっている

今まさにアイドリッシュセブンにハマっています。

こんなことになるとは4月の時点では全く想定していませんでした。しかしこの2ヶ月強で私はすっかりアイドリッシュセブンに傾倒している人になってしまっており、我ながらこの熱量は宝塚以来な気がしているので、将来の自分が面白がるために、ハマりたてのこの時期の記録を残しておくことにしました。

 

私はいわゆる「ヅカオタ」というやつで、2013年頃から最近までずっと宝塚を追い続けてきました。過去形なのはこの4月に、約7年応援していた贔屓が退団したからで、現在は退役ヅカオタとして友人の贔屓が出ている公演を中心にライトに観劇する体制に移行中だからです。

現役時代からずっと、贔屓が退団するという喪失に自分は耐えられるのだろうかと前のめりな心配をしていたのだけれど、期せずしてその喪失を埋めるかの如く私の目の前に現れたアイドリッシュセブンは、改めて「好き」という感情が生活を彩ってくれるのだということを再認識させてくれました。

以下、どのようにしてアイドリッシュセブンと出会ったのか、どのようにしてハマって行ったのか、アイドリッシュセブンの何が好きなのか、について記述します。

(注:この記事における「アイドリッシュセブン」はゲーム・アニメ全般のことを指して書いています)

1.アイドリッシュセブンとの出会い

おそらく友人の紹介がなければ、私はアイドリッシュセブンとは出会っていません。

アプリゲームは脱出ゲームとかジグソーパズルしかやったことが無いし、アニメも全然見なくて自主的に見たことがあるのは友人に薦められたエヴァまどマギのみ、アイドルも自主的に追ったことがない(友人に誘ってもらえればライブに行ったりはする)。

アイドリッシュセブンとの接点がほとんどなかった私がその存在を知ることになったのは、2015年から定期的に友人たちと開催しているオタクサミットのお陰である。

 

その会合では、各自がその時ハマっている趣味や紹介したいコンテンツ等についてプレゼンを行い、一緒に映像鑑賞したりするのだが、これまでジャニーズやK-POP、野球等について学び、課外活動として一緒にライブに行ったりもしてきた。

私は一貫して宝塚および贔屓についてプレゼンを繰り返し、関心を持ってくれた友人たちを観劇に連れて行ったりもした。自分の好きなものを、友人たちと共有できるのは本当に嬉しかった。

最初の接点は2020年12月、ある友人が「応援するとは何か」をテーマに行ったプレゼンだった。その中で、他のアイドルと並んで出てきたアイドリッシュセブンのことを、私は「名前はなんか聞いたことあるかも」くらいの感触で受け止めていた。この時の記憶は若干あやふやだけど、いくつか代表的なエピソードを鑑賞した。確かアニメ2期6話で三月が偶然聞いてしまったファンの自分に対する心無い評価で傷つく話で、あまりの生々しさに心が痛くなったし、その後8話で紡が「一億のNOに勝つYES」を伝えるシーンで「好き」や「応援したい」という気持ちの普遍性に心が震えた。あまり覚えていないが、「心理描写がすごく丁寧なアイドルアニメなんだな」という印象だったと思う。

 

その後、私は贔屓の退団公演が控えており他のことに割く時間が無かったため深掘りをすることはなく、贔屓の退団を待って5月に開催してもらったその会合にて、私は再びアイドリッシュセブンと出会うことになった。

アニメ3期を控えている、ということで、アニメ2期を再び掻い摘んで鑑賞したのだが、これがもう凄かった。Re:valeの過去が明らかになる10話で吐露されるモモの思いに初見の私たちは「そんなことないよ…!」と思いっきり心を揺さぶられ、その後14話の大和さんの「Get back my song…」にめちゃくちゃ動揺し、「黒幕だったの…?」「無理」「もうアイナナのこと推せない」と大騒ぎし、そのまま15話に入るタイミングで「ハッまさかお芝居…?」となって自分たちがまんまと騙されたことに大爆笑した。

15話でモモが無事歌えたことに安堵しその瞬間映る岡崎マネージャーのシーンをなぜか複数回鑑賞したり、とにかくめちゃくちゃな心のジェットコースターを楽しんだ。

「もうすぐ3期が始まるんですよ」と見せられた予告編はあまりに不穏で、えっTRIGGERどうなっちゃうの!?とめちゃくちゃに煽られた。3期はせっかくだし見ようかな、と考え、でもそうなると1期も2期もちゃんと見ておかないとな、と変に勤勉なところを発揮してしまったために今こんなことになっているのである。

 

2.どのようにしてハマって行ったのか

前項の通り、アイドリッシュセブンのアニメを一通り鑑賞することを決意した私は、とりあえずU-NEXTに登録するところから始めた。

結果として、5/24から5/28までの5日間で1期と2期の全話を鑑賞した。多分仕事と睡眠以外の時間をほとんど費やしていた気がする。ついでに仲の良い別の友人たち(ヅカオタ)にも薦めた。友人たちも勤勉なので、私を超えるスピードでアニメを完走し、「教えてもらって良かった」と感想を教えてくれた。

 

私は自分が宝塚にハマった時と似たような行動を取っていることをうっすらと自覚した。ハマりたて初期の衝動と友人たちの巻き込みはまさに身に覚えがある。これはまずいことになった…と頭の片隅では思いつつも、5/30にはついにゲームアプリをダウンロードした。アニメ化されていない部分があるのではと気になったのである。最初に氏名を登録することに戸惑い、途中途中で要求される「ライブ」という名の音ゲーに戸惑い、それでも1部と2部のストーリーをなんとか無事に全部読み終えた。結構忠実にアニメ化されているのだなということと、ストーリーを読むのも面白いけどアニメになると一気にリアリティが増すのでアニメってすごいんだな、という感想を抱いた。

 

そこからしばらくはゲームに触れることはなく、アニメをもう1周するなどしていた。しかしそこに新たな情報が入ってくる。6/14に、アニメ3期の先行上映会があり、オンライン配信で見られるというのだ。

それまで無課金アイドリッシュセブンを楽しんでいたことに対しちょっとした申し訳無さを感じていた私は、ちょっと待てば地上波で見られるけど、せっかくだし3話まで見られるし、何かお金を使いたいし、と軽い気持ちでオンライン配信のチケットを買い、夕飯を食べながら3話まで鑑賞した。この時の体験が一番心揺さぶられてたと思う。3話で気づいたら泣いていた。あまりに辛かったので、話を聞いてもらいたくて友人たちにLINEした。その時送った文章がこちらである。

 

「今日アニナナ3期の先行上映会があってついうっかり配信見ちゃったんですよね、3話まで見られるっていうから…3期、1期・2期の比じゃない重さでマジでこれを毎週見せられるの耐えられるのか?自分?ってなってアプリで3部のストーリーを読むことを決意しました」

「3話のラストで普通に泣いてしまい、なんでこんなことに…って情緒をめちゃくちゃ乱されたんですが、ふと気づいたことがあって、ここ数年宝塚ばっかりずっと観てたから、フィナーレという救済がない物語に立ち向かう体力が落ちている」

(フィナーレとは:公演の最後に見られるラインダンスやパレードなどのショー部分のこと。お芝居で悪役だった人や亡くなった人が、キラキラの衣装を着てあっさり生き返るので、何故か「良かった」と安心することができる)

 

話の途中なのでフィナーレがないのは当然なのだが、久しぶりに心を掻き乱されたことに多分私は動揺していたんだと思う。大和さんと和泉兄弟が寮から出て行ってしまって、この先一体どうなるんだ…続きを知ることができるのが7/25なんてそんなの無理…その一心でアプリのストーリー3部を解放した。

結果として、おそらく3部があったから私はここまでハマっているんじゃないかと思う。それくらい3部がすごく良かった。ストーリーとしての完成度がものすごく高いと思う。音ゲーである「ライブ」の意味も3部にしてようやく理解した。その時そのタイミングで歌われる歌に意味があるのだ。特にそれを感じたのがRe:valeの「太陽のEsperanza」で、Re:vale先輩はあまりに格好良いし久しぶりにTRIGGERを見られたファンの感動を追体験するしで、すごく好きな曲になった。

3部で一番感動したのは、やっぱりTRIGGER の雨の中での屋外ライブだと思う。突如挟まれた映像に驚きつつ、映像の美しさと物語の強さに心惹かれた。そしてそのライブでの九条天の涙を見て、それまで「全員すごく好きだからいわゆる推しが誰なのか決められない」と言っていた私は、「一番好きなのはこの人かもしれない」と直感した。まだ全然深掘りできていないしまだまだ知らないことばかりだけど、この時の気持ちは変わっていないので、多分私の「推し」は九条天なんだと思う。

3部を読み終えた感動そのままに4部のストーリーも解放して、巻き起こるトラブルのスケールが更に大きくなっていることに驚きつつも、続きが気になって読むのを止められなかった。6/19には4部まで全て読み終わり、まだ物語が続いていることに安堵する一方で、これから先何が起こるのかに対して不安を覚えてもいた。これはいつかちゃんと書きたいんだけど、今はとにかく一織のことを心配しています。彼のアイドリッシュセブンおよび七瀬さんに対する過激なまでの献身が気になって仕方がない。大丈夫なのか一織。無理しないでくれ一織。

 

話を元に戻すと、4部を読み終えたあたりから、ゲームとしてのアイドリッシュセブンにもハマり始めていた。「ライブ」という名の音ゲーが楽しくて仕方がなかった。今まで本当にゲームをやってきていないので、最初はEASYモードでも全然出来なかったのが、繰り返しトライするうちにそれなりになっていた。曲も沢山覚えられたし、仕事を終えて疲れた脳をリフレッシュするのにものすごくちょうど良かった。

そんな風にして楽曲を覚え、サブスクでも聴くようになってきた頃、次の爆弾がやってきた。TRIGGERの単独ライブである。

二次元のアイドルでライブとは…?どうやら声優の方がライブをやるということらしい。分かるけどよく分からなかった。しかし私はTRIGGERが好きである。推しは天にぃだし、TRIGGERが最強だと気づいている。TRIGGERのライブならやはり観ておくべきなのではないか。先行上映会と同じような気軽さで、私はオンライン配信のチケットを買っていた。

そして折しも丁度この頃、アイドリッシュセブンがリプトンのアンバサダーに就任し、私は毎日コンビニでリプトンを買っていた。普段、会社では水かコーヒーしか飲んでいないので、いきなり毎日リプトンを飲みだした私を見て先輩が「甘い飲み物を飲んでいるところをはじめて見た。ひょっとしてそのキャラクターと関係があるのか」と訝しげに聞いてきた。私は「パッケージになってるのを見たらなんか嬉しくて…」と照れながら答えた。そう、何だか嬉しかったのである。この時私は「アイドリッシュセブンが好き」という感情が与える生活の彩りを確かに感じていたと思う。

 

そして7月3日になった。残念ながらその週末は予定がありリアルタイムで観られなかったのだが、ツイッターでの盛り上がりを見て、念のため7月4日のチケットも買った。ようやく観ることができたのは月曜の夜だった。結論から言うと、一番の感想は「生でこのライブを見たい」だった。

声優さんが出てくるライブは初めてだったので、最初はキャラクターと声優さんが別物だと認識して見ているのに、最終的にはほぼイコールで見えるようになる感覚に驚いた。声優さんてすごいな。衣装や演出も凝っていて、まさにTRIGGERのライブだった。

そして驚いたのが、気づけば全ての曲が分かるようになっていたことだった。いつの間に…?私、TRIGGERのことめっちゃ好きじゃん…

更に驚いたことに、ついこの間アニメを見たばかりの友人(ヅカオタ)が、私と同じように気になり過ぎて同じようにTRIGGERの単独ライブのオンライン配信を視聴し、セトリの感想を送ってくるようなレベルになっていた。私たちめっちゃTRIGGERのこと好きになってるじゃん…とりあえず、将来観客を入れたライブが開催されたら、一緒に行こうと約束した。

 

以降、毎週日曜夜になるとアニメ3期を視聴し、ゲームの方もイベントに参加するなどして着実にステップアップする生活を続けている。一気に書いてみてあまりの長さに、この2ヶ月あまりに色々なことがあったなと痛感している。

 

3.アイドリッシュセブンの何が好きなのか

前項の振り返りがあまりにも長くてちょっと息切れしているのだけれど、なぜここまでハマったのか、私はアイドリッシュセブンの何が好きなのか、について考えてみた。

 

①ストーリーが面白い

最大の魅力は、「ストーリーが面白い」こと、これに尽きると思っている。

アイドルがテーマと聞くと、「衝突することもあるけれどお互いを理解しあい高めあうアイドルたち」とか「ライバルグループとの切磋琢磨」みたいな、美しい青春ストーリーみたいなものを想像してしまうのだが(いやそういう要素もちゃんとあるのだが)、アイドリッシュセブンは「アイドルたちが個として抱える問題の重さ」や「発生するトラブルの深刻さ」によってストーリーのリアリティや展開の緩急を生み出しており、こちらの気持ちを引き込んでくる。その真骨頂が3部だと思っていて、アニメ化されることで更にその魅力が増すことに期待しかない。とにかく面白いので見て欲しい。その気持ちに尽きる。先行上映会で3話まで見て「しんどい」とか言ってたくせになんだけど、でも本当に面白いので…いや、しんどいことも多いけどしんどいだけでは終わらない(と思う)ので、信じて見て欲しい。そんな気持ちです。

 

②心理描写が丁寧

最初にアニメを見た時から感じていたことである。

これは「アイドルたちが個として抱える問題の重さ」とも繋がる話なのだが、それぞれが抱える問題、その背景、引き起こされる葛藤などについて繊細な心理描写がなされており、アイドルたちがそれぞれ一人の人間であること、彼らの人生があることを理解することができた。

彼らは決してストーリーを動かすための記号ではなく、アイドルたちが存在してストーリーが動いていることがよくわかる。それを痛感したのが3部で、変化していく世界の始まりと、物語が自然に動き出していくダイナミズムのようなものに引き込まれた。それはやはり丁寧な心理描写の積み重ねによるものだと思う。

あとは人の負の部分とその救済を描くのが上手いな、と思ってみているんだけど、必ず全てを救い上げる訳ではないところが好きです。世の中には解決できない問題だってある。

 

アニメ1期で衝撃を受けたシーンの一つに、環が妹を探して欲しいと頼んだ番組で父親と対面させられるところ、あの時の環の表情の描写はすごかった。あの後、メンバー皆に謝罪するよう求められるも、壮五だけは環の味方をするところもすごく良かった。

個々に問題を抱えていて、それがどんなに深刻でも、どんなに仲の良い人たちの間でも、理解できる/できないが生じてしまう。この話だけじゃないけど、理解しあえないところがあることを分かりながらも、理解できるよう努力したり、それでも一緒にいることを選ぶこと、なんかもう「愛」じゃん…ってなる(急に語彙がなくなる)。

 

描写が丁寧なのはアイドルたちだけじゃなくて、ファンの描き方もすごいと思う。周りの声に惑わされること、他のアイドルに目移りすること、ファン同士で争って疲れること、長らく誰かの「ファン」として生きてきた身には「わかる」ことばかりだった。「好き」という感情にかき乱されるのはファンだけじゃなくて、アイドル自身でもあること。いつだって私たちは感情からは自由になれない。けれどもライブの、公演の、その一瞬のきらめきに「全て」がわかるような瞬間があって、だからファンという生き物をやめられないのだ。そういうことをアイドリッシュセブンを追いながら、私は追体験している気がする。

 

③アイドル同士のやりとりが可愛い

これもすごく重要な要素だが、単体で可愛いのはもちろん、複数人集まってやりとりが発生した時の可愛さがすごい。

それを痛感したのが「アイハケ!」のツイッターなんですが、やりとりの微笑ましさがすごい。まるで、スカイステージ(CSの宝塚専門チャンネル)みたいだな…というのが最初の感想だった。スカイステージはすごくて、本当に丸一日宝塚に関する番組しかやっていないのだけれど、公演映像以外に、タカラジェンヌたちがキャッキャしながらものすごく平和なゲームに興じる映像をたまに見ることができる。本当にそんな感じなのである。ひょっとしてこの人たちもフェアリーなのかな。陸くんも「天にぃは天使だよ」とか言ってたからそうなのかもしれない。

 

最近「アイドリッシュセブンと宝塚は親和性がある」説が(私の中で)浮上していて、元々ヅカオタだった私がこんなにがっつりハマっているのも私の友人が道連れになっているのも、私にアイドリッシュセブンを教えてくれた友人の師匠が元々宝塚ファンだったらしいというのも、その説を強化しているのだが、どこに親和性を見出しているのかは正直まだ言語化できていない。しかし一つの要素として、このフェアリー的可愛さが共通点なのかなと思っている。

 

話は逸れるが、たまに見られる「トンチキさ」も共通点の一つなのかもしれない。この間までアプリゲームの方であったイベント「オリンポスタウンの華麗なる日常」は、劇中劇みたいな感じなんだけど、神話の世界かつ商店街が出てきて宝探ししてて、正直何がどうなったらこうなるのかよく分からないのだが、宝塚における「トンチキ」なもんって思ったらスッと受け入れられた。

そしてなぜか私は、「アイドリッシュセブンでなら『邪馬台国の風』を再演できるな…」と考えていた。もう脳内で配役も決まっている。『邪馬台国の風』は卑弥呼がヒロインの古代ロマンである。見せ場が盟神探湯(クガタチ)、効果音で終わる合戦シーン、「ヒミコ様が男子を帳の中に侍られた」ソング、「風って一体なんだったんだろう」と思ってたら急にビュウビュウと風の音が効果音として入れられるラストシーンなど、1回しか観てないのにいつまでも忘れられない作品である。主演の明日海りおが類稀なトップスター力で捩じ伏せていたこの作品、きっと七瀬陸の真ん中力でなら成立させられるはず…

 

4.終わりに

あまりにも長くなってしまい、当初自分が何を書きたかったのか正直忘れつつあるのだが、一番記録に残しておきたかったのは、「アイドリッシュセブンに出会って、何かを/誰かを好きになることによる楽しさや喜びをまた味わっている自分がいる」ということだった。

贔屓の退団前は、贔屓が退団したら喪失感で燃え尽きてしまうのではないか、もしくは贔屓のことを忘れてしまうのではないか、と今となっては考え過ぎな不安を抱えていた。

しかし今、また別の好きな人たちが居て、そして並行して贔屓のことも好きなままでいる(退団後も活動するだろうとは思っていたけれど、芸能活動を続けてくれることが分かって本当にうれしかった)。ひょっとしたらこれらの気持ちは移ろっていつかは消えてしまうのかもしれないけれど、それでも「好き」でいることをやめたくないなと思っているし、変化していく自分自身の感情も受け入れられるような気がしている。

再利用することにした

2016年頃に、ちゃんと観劇の記録をつけようと思って作ったブログがあって、どうしても続けられなくてお蔵入りし、その後「贔屓が退団した後のために趣味を探すブログを書こう」と思い立ってタイトルを変え、記事を書きかけたもののあまりしっくり来ず、非公開にしたままのブログの存在を思い出してしまった。

今まさに書きたいことがあるので、ブログを再利用することにした。

ある意味、贔屓退団後の趣味の話であることに間違いはないけど、最初のいくつかの記事とのギャップがすごいな。5年も経つと知らない自分がそこにいるってことなんだろうと思う。

宝塚月組公演『舞音』/『GOLDEN JAZZ』 2回目

1/17(日)15時半の回鑑賞。

幕間に友人と「誰に一番共感できるか」という話になって、満場一致で「マノンの兄」という結論になった。劇中で一番分かりやすい人物というか、「祖国なんてない」というその姿勢も金に執着する理由も非常に分かりやすい。

舞台美術は全体的にとても好きなので、お話としてあと一歩な感じが、とても惜しい。

でも友人が「宝塚って感じだよねー」と言っていて、ああ確かに、宝塚ってこういう感じだったよね、と思った。最近比較的面白いお芝居が続いていたから忘れていたけど、ある意味非常に宝塚っぽい話だったかもしれない。

あと、元々の傾向なのかよく分からないんだけど、最近「戦いの中の愛」を描く作品を多く見ているな、と思った。革命とか好きだよね、宝塚って。

 

GOLDEN JAZZは2回目も楽しめた。

でも稲葉先生のショーでここ最近続けて見ていた「スポーツもの」がなかったのが少し残念でした(Mr.Swingの野球、ファンタジアのバスケ)。好き嫌い分れると思うけど私は結構好きだった。

友人と「珠城さんでラグビーとか観たかったね」という話になった。今ラグビー熱いし。「君のハートにトライ!」みたいなやつ、観たかったな。体格のいい下級生引き連れてラグビーボール持ってセンターで踊る珠城さん。あると思うんだけど。

ロケットが始まる前に龍さんが「ロケット!」って言ってはけるのが好きです。

あとはロケットの掛け声の「ゴールデン!」「ジャァ~ズ」の「ジャァ~ズ」の言い方(伝わりにくい)。

一番好きなのはやっぱりSing Sing Singのシーン。あそこの始まり方はワクワクする。

こういうワクワク感を体験したくて、繰り返し観てしまうんだなぁという、何度目かの気付き。

 

終演後はベトナム料理を食べました。観劇をきっかけに行動に繋げるのは楽しい。

 

宝塚星組公演『Love&Deam』@東京国際フォーラム 2回目

1/16(土)11時の回、性懲りもなく2回目を観てきた。

2回目は2階席だったので、3階席からは見えなかったものなんかも観られて良かった(時計は3階B席からは見えなかった)。客席降りの様子が見られたのも良かった。

でも3階席には3階席のいいところもあって、それはミラーボールが回る時に天井にまるで星のように光が当たることなんだけど、大きなホールでその様子を見ているとまるでホールが宇宙であるかのように感じられたのである。2階席だと当然そんなことはないので、ああ3階には3階の良さがあったんだな、と。

その宇宙みたいなホールの中で北翔さんの歌声を聞くというのはとんでもなく贅沢な体験だったと思っている。ホールという宇宙の真ん中に北翔さんがいて、まるで星を動かしているみたいな、そんな感じ。

で、2回目を観て、Ⅰ部で一番好きなシーンは実はヘラクレスの歌かもしれない。

風ちゃんが少しお姉さんっぽい印象になるところがいい。あとは「完璧な胸の筋肉」って北翔さんがポーズ取ると、胸の筋肉は見えないのになんだか本当に完璧な胸の筋肉をされているように思えた。あと、ヘラクレスって、あああったそういえば、っていうマイナー感も。

Ⅱ部は改めて、七海ひろきさんの白軍服姿が素敵でした。あそこはぜひ台詞も言って欲しかった。クイズコーナーで2問とも正解してしまう北翔さん。あと美稀さんが一番好きなディズニー映画が「ピーターパン」というのも可愛い。セカンドライフの時の照明カッコよかったなぁ(ひたすら思い出している)。

最後の「シナーマン」は言うまでもなく印象深い。

全体的に、水曜に観た時よりもますます良くなってたなぁと思ったし、2回目だと自分の中で観るべきポイントが定まっているから、より楽しめた気がする。

 

終演後友人とランチをしていて、自分の中に「観たい」というモチベーションがあって、時間とお金があって、応援している人が舞台に立っている、という状況は、実はそんなに当たり前のものではない、だから観られる時に観ないと後悔をするかもしれない、という話になった。生活も人生も色んなものごとのバランスで出来ているから、すごく難しいけれど、少なくともこの公演に関しては「観たい」を優先して良かったなと、そんな風に思っている。

 

宝塚星組公演『Love&Deam』@東京国際フォーラム

1/13(水)18時の回を観てきた。

元々観たいなぁと思っていて、でもチケットが全然取れなくて、まぁいいかと思っていたところで幕が開いて、とても評判が良いのでやっぱり観たいなぁ、なんとかしようかと思っていたところで運良く友人が譲ってくれたので観に行けた。

一言で言うと、「本当に観に行って良かった」。

 

宝塚とディズニーって食い合わせがいいのかな。全く違和感なく2つの世界が融合していて、曲も知っているものが多いし、すごく楽しめた。

今思い返すと、Ⅰ部で一番印象に残っているのは風ちゃん、Ⅱ部は北翔さんなのである。ディズニーはやっぱりプリンセスが主人公だからだろうか。どっちもしっくり来て、良い構成だった。

 

Ⅰ部:Sings Disney

出だしが最高に好き。そもそも駅ってこう、ロマンチックっていうか、はじまりと終わりを感じさせる素敵な装置だと思うのだけど、車掌=夢先案内人と旅の少女っていう組み合わせがすばらしい。夢先案内人によって夢の世界で旅の少女がプリンセスになるとかもう、宝塚とディズニーならでは。

私は特段ディズニー好きという訳でもない(むしろディズニーランドに3回くらいしか行ったことがないので好きじゃない方かもしれない)けど、それでもディズニーの曲は知っているものが多いし、ポップでキラキラしていていいと思う。ちゃんと「メリー・ポピンズ」の曲が入ってるのも良かった。

特筆すべきはトップ娘役の妃海風ちゃんだと思う。なんていうか、透き通った声が非常にディズニーっぽくて、ディズニーのプリンセス像がしっくりくる。愛嬌があるのもいい。「レット・イット・ゴー」では不覚にも泣いてしまった。

北翔さんはひたすら歌がうまいのでこちらも感動して泣いたりしていたのだけれど、北翔さんはⅡ部での印象が強すぎてもはやⅠ部でどんなことに感動したのか、覚えていないという…

 

Ⅱ部:Sings TAKARAZUKA

こちらも最高だった。クラシカルな燕尾と娘役さんのドレスが素敵で、そんな雰囲気の中歌う「すみれの花咲く頃」と「TAKARAZUKA FOREVER」がもう。

特に北翔さんが歌う「TAKARAZUKA FOREVER」が有り難すぎて気付いたら泣いていて、私何泣いてるんだろうと思いながらも心の中で一緒に歌ってた。ものすごい自画自賛ソングなのに、グッとくる。2015年に生きる私が「そうだよ宝塚は永遠なんだよ」とか思いながらこの歌聞いて泣いてるとか、宝塚の文化としての強度感じる。皆そういうことを思ってきて100年続いたのだろうか。

とにかく有名な曲をいっぱい歌ってくれるので飽きる暇がない。いい曲がいっぱいあるなぁ、とひたすらうっとりできる。

個人的に一番うれしかったのは、北翔さんが「かわらぬ思い」を歌ってくれたことです。

「かわらぬ思い」は昔の花組公演「ブラック・ジャックー危険な賭け」の曲で、名曲だと思ってるんだけど、ヤンさんが歌っているの以外を初めて聞きました(そのヤンさんは「夢の祭典」でこの曲を歌ってくれて、それはもう興奮した)。

歌詞がすごくいい。今北翔さんの歌声でこの曲が聞けたことがすごく嬉しかった。

あとはそう、七海ひろきさんがたくさん活躍していて嬉しかった。「うたかたの恋」の白軍服すごく似合っていた。

しかしまぁ最後の「シナーマン」に全て持っていかれるのである。

噂には聞いていたし、友人にも「圧倒されるから覚悟しておいたほうがいい」などと言われていたけど、実際に体験すると「本当にすごかった」みたいな子どもみたいな感想しか出てこなかった。

あの瞬間、たぶん観客全員が引き込まれていて、声に包まれるみたいな、渦の中にいるみたいな、そんな感じだった。

それでいて最後のあの終わり方。ずるい。風ちゃんのあの格好可愛過ぎてつらい。

 

B席だったので3,000円なんだけど、3,000円なのが申し訳なくなるぐらいの観劇体験だった。本当に観られて良かった。観たいと思ったものは、やっぱり観なくてはいけないのだと、改めて思う経験にもなった。